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「たそがれ清兵衛」

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山田洋二監督の藤沢周平著小説の映画化第1弾となった作品である。このシリーズは3作品とも古き時代の中で培われた信念をもった主人公とそれをまっすぐに愛する女性を描いていて心に響く。

労咳で妻に先立たれて子供2人と痴呆症の母親をと暮らし、その世話と妻の治療に費やした借金を抱える清兵衛を真田広之が実直さを表に出して演じている。幼馴染で離縁して実家に戻った親友の妹の朋江を宮沢りえが演じる。

宮沢りえは着物がとても似合う。演技にプラスの要素を与えている。子供達と遊ぶときの無邪気な笑顔や清兵衛に思いを寄せるときのまっすぐな目、清兵衛を果し合いに送り出す時の凛とした表情とまさに好演していた。

この時代はなかなか自分の気持ちだけで何かをするには障害となる時代背景や掟や体裁といったものが多すぎる。そんな中でそれぞれの気持ちが見え隠れする様子がもどかしくもあるが、余計にその思いの深さを感じたりもする。

この映画は基本的に清兵衛の子供の以登の回想のナレーションが入るのだが、最後にその後どうなったかについて語られる。結果だけ聞くと伝わりにくいが、清兵衛と朋江がお互いに想いを寄せ暮した時間は間違いなく幸せであっただろうし、この2人にもし尋ねることができるのであれば、自分の人生は幸せであったと答えると思う。

by backyard_babies | 2009-07-02 00:21 | Movie(japanese film)