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「1ポンドの悲しみ」 石田 衣良

「1ポンドの悲しみ」 石田 衣良_c0174153_2302111.jpg30代前半くらいの自分と同年代の人たちの恋愛を描いた短編集。これくらいの歳になると恋愛もどこか切ないものやどこか陰のあるものだったりするものだ。そんな雰囲気や登場人物がそれに悩んでいる様子が伝わってくる。

いろいろな形の恋愛が描かれているが、この人の作品にはまっすぐな気持ちを持った登場人物が出てくるので好感が持てる。まっすぐであったり、まっすぐ故に危うかったり、まっすぐになりたかったり、それこそ人間らしい。以下の作品が気に入った。

「ふたりの名前」は若干関係が冷めつつある男女が、子猫を飼い始めて、もう一度2人の間を暖かいものが包む様子や子猫への2人の気持ちの強さに目頭が熱くなった。

「十一月のつぼみ」はとても不器用な男と、その男との週一度の会話をいつしか楽しみになっていく主婦のプラトニックな関係がいい感じだ。たまにそんな気分になれる時があるから不思議だ、普段は無理だけど。

「スローガール」はとてもピュアな女性と遊び人の男が出会ったことで、お互いに本当の意味で初めての恋愛をするのだろうと思える終わり方はとても爽やかだし、なんだか嬉しかった。

by backyard_babies | 2009-02-20 02:30 | Book